社内外を問わず、ビジネスシーンには様々な場面が混在しています。
こういうことを言いたいのに、適した敬語が頭に浮かばない、先輩が使っている敬語がなんだかおかしいなど、頭を抱えたり首を傾げたりすることがあるかもしれません。
ここでは、ついうっかり間違って使いがちな表現や、適切でないフレーズ、また、なんだかよく耳にする間違った敬語についていくつか考えましょう。
間違いやすい表現
敬語には正解があるので、正しい敬語を知っている人は、間違った表現を耳にすると不快に感じる場合があります。
不快とは思わなくても、違和感を感じ、ビジネスの話よりもその言い回しに気を取られる可能性があります。
敬語の間違いやすい表現をいくつか見てみましょう。
二重敬語
二重敬語をご存知でしょうか。二重敬語はその名の通り、敬語が重複して使われている状態を言います。
例えば次の通りです。
- 「おっしゃられていた」
- 「お見えになられた」
- 「お承ります」
まず、「おっしゃられていた」ですが、これは「おっしゃる」で十分尊敬語の意味をなしています。
ですから「られ」は必要なく、「おっしゃっていた」が正しい表現です。
「お見えになられた」も同様に、「お見えになる」が尊敬語なので、「お見えになった」となります。
「お承ります」については、思わず舌を噛みそうになってしまいますが、「承る」で一つの尊敬語なので、「承ります」となります。
このように、一つのフレーズに二つの尊敬語を使う表現は、敬語としては間違っているのです。
適切でないフレーズ
間違いやすい表現として、適切でないフレーズがあります。
相手に良い感想を伝えたり、褒める時にも、使うフレーズが適切でなければ、逆に相手に不快感を与えてしまうことがあるのです。
「さすがです」
「さすがです」という言葉があります。
相手の特技を目にしたり、経験の豊かさから良い結果に繋がった場面に居合わせたときなどに使うことがあるかもしれません。
しかしこの「さすがです」は、目上の人に使うべきフレーズとしては適切ではありません。
では、何といえばいいのでしょうか。代わりとなるフレーズにはいくつかあります。
例えば「勉強になりました」「素晴らしいです」と言い換えることもできます。
他にも「〇〇さんだからこそですね」や、「感服いたしました」「尊敬します」というフレーズも良いでしょう。
「なかなかいい」
「なかなかいい時計ですね」とか、「これはなかなかいい資料ですね」などで使うこの「なかなかいい」という言葉も、やはり目上の人に対して使うには適切とは言えません。
この場合は、率直な表現に言い換えることができます。
「素敵な時計ですね」「素晴らしい資料ですね」と言った具合です。
よく耳にする間違った敬語
先輩、もしくは上司が使っているからと言って、当然のことながらそれが正しい敬語であるとは限りません。
間違って覚えてしまっているのか、もしくはオフィス内の通用語のようなものになっていて、みんなが使っているという場合もあります。
しかし、社外の人や、また敬語を知っている人が耳にすれば、違和感を感じてしまうでしょう。
そのような間違った敬語は意外とあふれています。
「お休みをいただいております」
例えば、電話で「〇〇さんいらっしゃいますか?」と尋ねられ、当日その担当者が休んでいる場合、正しい表現は、「〇〇は本日休んでおります」もしくは、「休みを取っております」「代休を取っております」、また長期であれば「休暇を取っております」となります。
「お休みをいただいております」というフレーズを耳にすることがありますが、休んでいる社員は、電話の相手から休みをもらっているわけではありません。自分の会社からもらっています。
ですから、これは間違った敬語ということになります。
「とんでもございません」
まずこれは、言葉として間違った表現です。
「とんでもない」が一つの言葉なので、もしこれを丁寧に言うのであれば、「とんでもないことです」「とんでもないことでございます」となります。
ホテルや旅館、また旅客機内で接客する人たちは、この「とんでもないことでございます」を常用していますが、通常は「とんでもないことです」で十分でしょう。
このフレーズを使う場面は、お礼を言われた時です。
自分が、上司やお客様から褒められた時にも「とんでもない」と言いそうになってしまいますが、これは相手の言葉を否定してしまうことになります。
この場合は、素直に「恐れ入ります」「ありがとうございます」「励みになります」と述べた方が良いでしょう。
まとめ
このような適切でないフレーズや、間違った敬語だけでなく、ビジネスの場においては「流行言葉」も避ける必要があります。
「私的には」とか「てゆうか」と言った言葉は、ついうっかり出てきてしまうので、プライベートでも一切使わない努力をすることをおすすめします。
そのような流行言葉は、若い時は許されても、年齢を重ねるにつれ、使った時の違和感は増していきますし、言葉遣いを注意してくれたり、気づかせてくれる人もいなくなります。
言葉遣いは、その人の品格に直結する大切な要素なので、周りに流されることなく、正しい敬語を美しく話す努力を続けましょう。

