相手を高める尊敬語に、自分を低める謙譲語を合わせることで、より相手を高めることができます。
相手に気を遣わせることなく、さりげなく謙譲語を使える人は賢い人、信頼できる人といったプラスの印象を与えることができます。
ここでは、基本の謙譲語と、さらに一歩進んだ言い回しについて考えます。
自分の動作をへりくだる
まず、自分が相手に何かをする場合は、その動作に「お」や「ご」をつけることで、へりくだった表現にすることができます。
例えば、「知らせる」は「お知らせする」、「報告する」は「ご報告する」といった具合です。
これによって、自分の動作を「させていただく」というへりくだった表現に変換することができます。
相手に何かをしてもらう
また相手に何かしてもらったり、してもらいたいときは、「いただく」や「願う」を使います。
これからしてほしい場合は、「ご指導いただけますか?」、「ご署名願います」、すでにしてもらった場合は「ご指導いただきました」、「ご署名いただきました」となります。
一歩進んだ言い回し
謙譲語には、それをさりげなく使える人を一層引き立てる特別な言い回しがあります。
その一部をみてみましょう。
「伺います」
「お話を伺います」「今から伺います」というように、「聞く」「行く」を「伺う」という言い回しです。
「お聞きします」「行かせていただきます」も謙譲語ですが、「伺う」の方がスマートで、よりへりくだった印象を与えます。
「承ります」
「承ります」は、とても便利な言葉です。この一言で、相手は、依頼したこと全てを責任持って行ってもらえるという安心感を持つことができます。
「かしこまりました」も謙譲語ですが、この「承ります」には、自分の動作に対して、重みをプラスする効果があります。
「存じ上げております」
「知っている」という言葉の謙譲語です。
「知る」にはこれ以外に丁寧な言い方がないので、この言い回しを使いましょう。
「ご覧になる」
これは、相手の「見る」という動作を表現するときに使う言い回しです。
「見ますか?」は「ご覧になりますか?」、「見せます」は「ご覧に入れます」となります。
セットで覚えたいのは、自分が見る場合です。これは「拝見する」となります。
他に「読む」は「拝読」、「借りる」は「拝借」などがあります。
メールの中の謙譲語
メールでは、謙譲語を文字にすることになります。
この特別な言い回しを覚えれば、メール本文全体が引き締まり、要点を際立たせることができます。
間違えやすいフレーズ
一見、へりくだっているようで、謙譲語としては間違っている言葉もあります。
例えば、「了解しました」や「ご一緒します」は、丁寧ではありますが、「承知いたしました」、「お供させていただきます」が正しい言葉です。
他にも「お世話様になります」は、「様」が付いている分かしこまった印象ですが、実は「ご苦労様」と同じく、目上の人使うにはふさわしくない言葉です。
「お世話になっております」に統一しましょう。
さらに、「参考になりました」というのも良く聞く言葉ですが、これは正しくは「勉強になりました」となります。
まとめ
謙譲語を使っても、無表情であったり声が暗かったり、ぶっきらぼうな態度では、その悪い印象の方が勝ってしまい、謙譲語が生きません。
話すときには状況に適した表情が必要です。楽しい話は笑顔で、お詫びをするときには、申し訳ないという表情で話します。
このように、正しい敬語を使うときには、口先だけでなく相手を敬う心を持って使いましょう。
その心の姿勢は、表情や行動に現れ、誠実な思いは相手に必ず伝わるものです。
そして相手に良い印象を与えるだけでなく、同席している上司や同僚の信頼も得ることができます。
