相手の動作を高めるために使う尊敬語。丁寧語と違って、表現の言葉自体が変わる場合も多く注意が必要です。
この尊敬語が自然に使えるようになるには、学びとトレーニングが重要になります。
会話は文章のように、想定通りには進みません。
とっさの時でも正しい言葉が出るほど身につけられたら完璧と言えるでしょう。
尊敬語のパターン
尊敬語にはいくつかのパターンがあります。セットで覚えるのがおすすめです。
尊敬語のいくつかの基本パターンを考えましょう。
「お」「ご」を付ける
まず、相手の動作に「お」や「ご」を付けるという表現方法があります。
その場合、相手の動作をまず丁寧な言葉に言い換え、その後「お」や「ご」を付けます。例えば次の通りです。
- 「行く」は「おでかけ」
- 「辞める」は「ご退職」
このように、相手の動作を別の丁寧な単語に置き換え、そこに「お」や「ご」を付けるという方法です。
これは、覚えておくととても便利です。難しい言い回しなどは必要なく、丁寧な単語そのものに尊敬を含めることができるからです。
ではこの場合の語尾を考えてみましょう。
基本的に「お」がついたものには「~になる」が適しており、「ご」がついてものには「~なさる」が適しています。
次のように言えます。
- お出かけになる
- ご退職なさる
「お出かけ」に「なられる」を付けるパターンを時々耳にしますが、これは二重敬語になります。
すでに「お出かけ」が尊敬語なので、「なる」まで丁寧にする必要はありません。
この言葉一つであればそうでもありませんが、これは会話なので、二重敬語がいくつも集まると丁寧すぎて要点がぼやけたり、窮屈な印象を与えてしまうので気をつけましょう。
「いらっしゃる」の使い方
「いらっしゃる」には、「来る」という意味と、「居る」という意味があります。
「来る」の例は次の通りです。
「〇〇様が、12時にいらっしゃいます」
「〇〇様は、12時に来ます」
これは「来られます」に言い換えることもできます。
「居る」の例は次の通りです。
「〇〇様はいらっしゃいますか?」
「〇〇様はいますか?」
これは、〇〇様はそこにいますか?という意味で、電話を取り次いで欲しいときや、他社を訪問した際、担当者を呼び出してもらうときに使います。
「おいで」と「お越し」
これは、「来てください」もしくは「行きますか?」を丁寧にいうときに使います。
次のように言えます。
- 「ぜひ説明会においでください」
- 「明日、弊社にお越しください」
- 「今日はおいでになりますか?」
- 「明日はお越しになりますか?」
「来られてください」とか「行かれますか?」も尊敬語ではありますが、「おいで」と「お越し」を使えると、よりへりくだることができ、好印象を与えます。
尊敬語を使うべき場面
尊敬語はいつ使ったら良いのでしょうか。対象となる人のことを述べるときにはいつでも使いましょう。例えば次のような場合です。
「部長、A会社のBさんが来ました。どこに案内したらいいですか?」
一見すると、本人がそこにいなければこれでいいと思いがちですが、これでは上司や社内の信頼を得ることはできません。
尊敬語はたとえ高める相手がそこにいない場合も徹底して使うことが重要です。
そのことが他の人の信頼を高めると同時に、トレーニングにも繋がり、本人の前でうっかりということも無くなります。
「部長、A会社のBさんがお見えになりました。どちらにご案内したらよろしいでしょうか?」このように言えば、たとえBさんがその場にいても問題ありません。
まとめ
上司や同僚といったこちら側の人と、取引先や営業先の人が混在する場面では、尊敬語に加えて謙譲語も使わなければなりません。
実際に会って話す時だけでなく、他の場所でも使い分けておくことで、とっさの時も迷ったり慌てたりせずに正しい敬語を使うことができるでしょう。
正しい敬語を自然に使える人は、接する人に、常識的で信頼できる人という印象を与えます。
ビジネスの場において、常識と信頼はとても重要です。それぞれの個性や特性はその基盤の上でこそ成り立つものなのです。
敬語をしっかりマスターして、一目置かれる社会人になりましょう。
