一口に「敬語」と言っても、それには3つの種類があります。「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」です。
ビジネスの場において敬語は、使い方を間違えると相手に不快感を与えたり、身内の人間に恥をかかせたりしてしまう、とても重要なマナーです。
この3種類の敬語をどのように使い分けたら良いか、敬語の基本と応用を考えます。
尊敬語
尊敬語は分かりやすく言えば、相手の動作を表すとき、また相手側の人の動作を表すときに使います。
例えば、お客様が来社したことを上司に伝える時は、「〇〇様が来ました」ではなく「〇〇様がお見えになりました」もしくは、「〇〇様がいらっしゃいました」と述べます。
これは、相手側の動作を身内に伝えるという場合です。
また実際にお客様に話しかけるときは、「ここに座ってください」ではなく「こちらに、お掛けになってお待ちください」と述べます。
これは相手の動作について述べる場合です。
尊敬語の活用例
おっしゃる | 言う |
---|---|
いらっしゃる | 行く |
お帰りになる | 帰る |
お聞きになる | 効く |
なさる | する |
召し上がる | 食べる |
「〇〇様が、お越しになると言うことでしたので、この資料を用意しておりました。」
「先日〇〇様が、面白いとおっしゃっていた本を読んでみました。」
時折、「お越しになられる」とか「おっしゃられた」と言う使い方を耳にすることがありますが、これは二重敬語と言ってふさわしくありません。
「起こしになる」「おっしゃる」で一つの尊敬語なので、「られる」や「られた」は不要です。
間違えやすく、使っている人も多いので気をつけましょう。

謙譲語
尊敬語が相手の動作を表すのに対し、謙譲語は自分の動作を表すときに使います。
例えば、「〇〇様に会いたい」と言うときは、「〇〇様にお目にかかりたいのですが」と言います。
また、「電話番号を言います」は、「電話番号を申し上げます」となります。
身内の人間が話した内容を伝える場合は、「弊社の〇〇が、申しております」と述べることで、自分側の人よりも相手を高めます。
もしも、こちら側の人間が役職者で、自分より上の立場だとしても、取引先や営業先の人よりも下として表現すると言うことです。
間違っても「部長がおっしゃっていました」などと言って、上司に恥をかかせないように気をつけましょう。
謙譲語の活用例
お目にかかる | 会う |
---|---|
申し上げる | 言う |
伺う | 行く |
頂戴する | もらう |
拝読する | 読む |
拝見する | 見る |
承知する | わかる |
「私がお伺いいたします。」
「資料を拝見してもよろしいですか?」
「ご要望の件、承知いたしました。」
これも時折、「拝見させて頂く」とか「拝読させて頂く」と使う人がいますが、やはり二重敬語です。
「拝見」や「拝読」だけで、謙譲語は成立しており十分へりくだった言い方になっています。

丁寧語
丁寧語は一番簡単です。「です」や「ます」を付けた言い方のことを言います。
誰でも上司や取引先の人に対して、いわゆる「タメ口」で話す人はいないでしょう。
しかしこの丁寧語も気をつけた方が良い場合があります。
例えば、「相槌」ですが、方言やクセで「はい」と打っていたはずが、時々「うん」や「あぁ」等が混ざっていないでしょうか。
うっかり馴れ馴れしくしないように気をつけましょう。
また「なるほど」と言う言葉を使う人がいますが、「なるほど」は敬語ではありません。
受け取る側が不快に感じることもあります。同意する表現としては、「おっしゃる通りですね」や「確かにそうですね」が適切でしょう。

まとめ
日本ほどではないかもしれませんが、外国語にも敬語は存在します。
敬語は人が人をどう思っているか、大切にしているか否かといった、人間関係の根本に関わる大切な分野です。
その上、敬語はビジネスマナーの中でも、難しいものの一つと言えます。
敬語には正解があるので、おかしな敬語を使えば、相手に気づかれてしまいます。
敬語の知識はマナーである前に教養なのです。きちんと学習し、日常的に使うことでしっかり身につけましょう。
