信頼を築く身だしなみ

【敬語の使い方】シチュエーションごとに対応力をあげる覚え方

敬語は自然に身につくものではありません。

正しく学び徹底的に実践することではじめて、マスターすることができます。

学習は難なくできても、実践するとなると、それぞれの状況や会話の内容に合わせて、自分の発する言葉の中に、敬語を上手に織り込まなければならないので、なかなか簡単には行きません。

ここでは、シーン別に使えるフレーズをいくつか挙げます。

フレーズの組み合わせがどうなっているか、どんな場面で使えるかを考えてみましょう。

取引先(お客様)への対応

お客様に対しては、尊敬語と謙譲語を組み合わせた敬語が求められます。接客でよくあるシーンを2つ挙げます。

取引先(お客様)に担当者を名指しされた場合

「田中課長様いらっしゃいますか?」

これは、お客様が来社し、担当者に会いたいと頼まれたシーンです。

この場合、普段は自分も“田中課長”と呼んでいるかもしれませんが、お客様に対しては、「田中でございますね」と言います。

社内では自分の上司であっても、お客様よりは下に置くことになります。

その後、「しばらく(少々)お待ちいただけますでしょうか」と続けます。

細かいことですが、相手に何かをしてもらう場合は、「してください」と言い切ってはいけません。

この場合も「お待ちくださいませ」ではなく、「お待ちいただけますでしょうか」と述べる方が良いでしょう。

応接室で待ってもらう

お客様を案内するように指示を受け、応接室に案内するシーンです。

この場合、お客様に応接室に座って待ってもらうようにお願いしなければなりません。

目上の人に何かをしてもらう時には、尊敬語を使ってお願いします。

「ここに座ってお待ちください」ということが言いたいのですから、まずはお客様の動作である「座って」を、「お掛けになって」という尊敬語に変換します。

そして「ここ」は「こちら」、「お待ちください」は先ほどと同じように「お待ちいただけますでしょうか」に言い換え、すべて合わせると以下のようになります。

「こちらにお掛けになって、お待ちいただけますでしょうか」

このような場面でぜひ付け加えて欲しいのは、「どうぞ」という言葉です。

「こちらに」とだけ言うよりも「どうぞこちらに」と言ったほうが、温かく歓迎している印象を残せるでしょう。

また、ご案内するときには、応接室の上座を瞬時に見分け、上座の方向に手をやって、どこに座って欲しいかを明確にします。

そうすれば、お客様もどこに座ればいいか迷わずに済みますし、あとで上司が来て、自分が上座に座ってしまうと言う気まずい思いをしなくてすみます。

上司に対する対応

社内で自分の上司と話をする際も、尊敬語と謙譲語を組み合わせます。

この場合は来客応対と違って、上司と自分の二人だけの間で話せば良いので、いくらかシンプルかもしれません。

ではここでは2つのシーンで考えてみましょう。

業務のやり方を教えて欲しい

これは、まだ一度もしたことのない業務の指示を受けた場面です。

上司も自分が受け持つ部下が複数いるので、すでにやったことがあると勘違いして、指示することがあるかもしれません。

そのような場合は、勝手に進めるのではなく、きちんと上司に尋ねる必要があります。

ではその時に使えるフレーズを考えましょう。

「やったことないので、教えてください」ということが言いたいわけですから、まず「やったことない」という自分の動作を謙譲語にします。

これは「不慣れですので」もしくは「不慣れなもので」や、「この業務はまだ経験がなく」と変換することができます。

では「教えてください」はどう変換したら良いでしょうか。

「教えていただきたい」でも構いませんが、「ご指導いただきたい」とすればもっと印象はアップします。

誰でも「あなたに指導していただきたい」と言われたら、悪い気持ちはしません。

それでこの場面の正しい敬語は以下のようになります。

「不慣れですので、ご指導いただけないでしょうか」

ミスをしてしまった

ミスをして上司に謝罪する場面です。

できればこのような状況は避けたいものですが、新人や若手であればミスをしてしまうのは当然です。

謝罪する時に重要なのは、言い訳をしないこと。“自分が悪い”とまず認めることです。

心の中で言い訳をしたり、誰かのせいにしているとつい言葉に出てしまうので、謝罪をする時には、そのミスについてしっかり理解し反省した上で謝るようにしましょう。

次のように言えます。

「〇〇課長、この度はご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした」

まず、自分の動作「迷惑をかけた」を謙譲語にし「ご迷惑をおかけし」と変換します。

そして「申し訳ない」つまりこの件に関して自分には弁解のしようもない、という自分の動作も謙譲語にし「申し訳ございません」と変換するのです。

さらにポイントは「〇〇課長」と最初に相手の名前を呼ぶことです。

このことで上司は、自分に迷惑をかけたということが分かっていて、自分に謝っているのだということを感じ取ります。

細かいことですが、褒められるときも謝られるときも、自分の名前を呼んで言われると嬉しいものです。

“人が許しやすいように謝る”のは人間関係の基本です。

まとめ

このように、実際にありそうなシーンで、使えるフレーズを覚えておくことは、とても役立ちます。

特に、いきなり仕事を任されたり、ミスをすると、パニックになってすっかり敬語が飛んでしまう、もしくは敬語が後回しになってしまうかもしれません。

ミスをしたら、こう言って謝罪しようと、前もってフレーズを考えておけば、慌てずに済みます。

ただし、ミスが多いと毎回同じフレーズというわけにもいかないので、ミスをしないように気をつけると同時に、別のフレーズも考えておきましょう。

また、敬語を使う時には、柔軟さも必要です。型にハマった言い方で、相手に冷たい印象を与えたり不快感を与えることもあります。

覚えたフレーズに、オリジナルの一言を添えれば、より相手の立場に立った自然な敬語になります。

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